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[[ExperimentalParticlePhysics]]

*NOP group [#va6743bf]
非常に低エネルギーの中性子(数neV〜数meV)を利用した実験で素粒子現象の研究を行なっています。~
以下の4つの実験を茨城県にある大強度陽子加速器施設(J-PARC)の物質生命科学施設(MLF)で行っています。
''非常にエネルギーの低い中性子''(数neV〜数meV)を利用した実験で素粒子現象の研究を行なっています。~
以下の4つの実験を茨城県にある''大強度陽子加速器施設(J-PARC)''の''物質生命科学施設(MLF)''で行っています。

&ref(http://epp.phys.kyushu-u.ac.jp/image/NOP.png,zoom,0x250,NOPLOGO);
&ref(http://epp.phys.kyushu-u.ac.jp/image/nop1.png,zoom,0x250,MLF); 
&ref(http://epp.phys.kyushu-u.ac.jp/image/nop7.png,zoom,0x250,NeutronEnergy);


***中性子寿命測定 [#mb38c288]
陽子と共に原子核を構成する核子である中性子は、単独でいる場合約880秒の平均寿命で陽子・電子・反電子ニュートリノへと崩壊します。~
中性子寿命は宇宙初期のビッグバン元素合成理論における元素合成量に影響を与える重要な値です。~
この元素合成量の『中性子寿命から求めた理論値』と『遠方宇宙の観測値』の間には無視できないズレが見つかっています。~
このズレを検証するためには中性子寿命の精密測定が必要になりますが、これまで行われてきた2種類の方法『ペニングトラップ法』と『貯蔵ボトル法』ではその手法毎に結果が二分しています。~
そこで、NOPグループは加速器で作った大強度の中性子源を使用してこれまでと異なった新たな手法を用いた中性子寿命測定に取り組んでいます。~
陽子と共に原子核を構成する核子である中性子は、単独でいる場合''約880秒の平均寿命''で陽子・電子・反電子ニュートリノへと崩壊します。~
中性子寿命は宇宙初期の''ビッグバン元素合成理論''における元素合成量に影響を与える重要な値です。~
この元素合成量の''『中性子寿命から求めた理論値』''と''『遠方宇宙の観測値』''の間には無視できないズレが見つかっています。~
このズレを検証するためには中性子寿命の精密測定が必要になりますが、これまで行われてきた2種類の方法『ペニングトラップ法』と『貯蔵ボトル法』では''その手法毎に結果が二分しています。''~
そこで、NOPグループは加速器で作った大強度の中性子源を使用して''これまでと異なった新たな手法を用いた中性子寿命測定''に取り組んでいます。~
&ref(http://epp.phys.kyushu-u.ac.jp/image/nop2.jpeg,zoom,0x230,Apparatus);
&ref(http://epp.phys.kyushu-u.ac.jp/image/nop3.png,zoom,0x230,BetaDecay);
&ref(http://epp.phys.kyushu-u.ac.jp/image/nop6.png,zoom,0x230,nLifeHistory);

**CP対称性の破れ [#x116cfcc]
全ての素粒子には、それと対を成す反粒子と呼ばれるものが存在します。~
反粒子は(素)粒子と電荷の符号が逆で質量やスピン等は同じという性質を持っており、~
素粒子とそれに対応する反粒子が衝突すると、それらは自身の質量をエネルギーへと変換して消滅します(対消滅)。~
反対に、エネルギーから粒子と反粒子が対になって生成される現象もあります(対生成)。~
ビッグバンが起きた直後の宇宙は、非常に高エネルギーの状態であったと考えられています。~
そのためエネルギーから粒子・反粒子が対生成され、宇宙開闢直後には粒子と反粒子は同数あったと考えられます。~
しかし、現在の宇宙は反粒子に比べ粒子の数が圧倒的に多くなっています。~
これは粒子と反粒子の性質の間に僅かな違いがあるためであると考えられ、その違いを「CP対称性の破れ」と呼びます。~
これまで、CP対称性の破れはK中間子やB中間子の崩壊事象を観測することによって発見されており、~
これは小林・益川両博士が提唱した理論によって綺麗に説明が成されています。~
しかし、既発見のCP対称性の破れのみでは粒子が支配する現在の宇宙を説明しきれず、~
我々の知らない新物理がもたらす未知のCP対称性の破れが存在するのではないかと言われています。~
九州大学では、この未知のCP対称性の破れについて、中性子を利用した探索を目指す2つの実験に参加しています。
粒子には、対を成す''反粒子''と呼ばれるものが存在します。~
反粒子はその粒子と''電荷の符号が逆で質量やスピンは同じ''という性質を持っており、~
粒子と反粒子が衝突すると消滅し自身の質量をエネルギーへと変換します(対消滅)。~
一方で、粒子と反粒子がエネルギーから対になって生成される現象も存在します(対生成)。~

ビッグバン直後の宇宙は非常に高エネルギーの状態であるため、粒子・反粒子が対生成され宇宙開闢直後には粒子と反粒子は''同数''であったと考えられます。~
しかし、現在の宇宙は反粒子に比べ粒子の数が''圧倒的に多く''存在しています。~
これは粒子と反粒子の性質の間に僅かな違いがあるためと考えられ、その違いは''「CP対称性の破れ」''と呼ばれています。~
これまで、CP対称性の破れはK中間子やB中間子の崩壊事象を観測することによって発見されており、これは小林・益川両博士が提唱した理論によって説明が成されています。~
しかし、既に発見されたCP対称性の破れのみでは''粒子が支配する現在の宇宙を説明するのには不十分''であるため、
''我々の知らない新物理がもたらすCP対称性の破れ''が存在するのではないかと言われています。~
九州大学では、この未知のCP対称性の破れについて中性子を利用した探索を目指す''2つの実験''に取り組んでいます。

***複合核を利用したCP対称性(時間反転対称性)の破れ [#we527736]
 原子核に中性子を入射すると、中性子が原子核内の核子と反応して、例えばγ線等の粒子を放出して別種の原子核へと変化します。このような核反応において、原子核内の各核子が入射中性子のエネルギーを少しずつ分配して受け取る場合があります。この場合、ある核子がたまたま多くエネルギーを多く受け取って原子核ポテンシャルの束縛を逃れたり、核子がγ線を放出し得るエネルギーを持ったりするまでに長く時間がかかってしまいます。このように核反応の中間状態が長く持続することで、ある種の原子核として見ることができ、これを複合核と呼びます。~
 ある物理現象を空間反転(鏡像反転)した際に、反転する前と同じ物理現象を示すことを空間反転対称性(パリティ対称性)と呼びます。核反応においてはこの空間反転対称性が破れていることがわかっていますが、複合核状態では、複合核状態を介さない場合に比べて最大10&sup{6};倍も空間反転対称性の破れが増幅される現象が良く知られています。図は、これまでに発見されている様々な原子核での空間反転対称性の破れを示しています。この増幅効果がCP対称性(または時間反転対称性)の破れにも現れる可能性が指摘されており、九州大学ではこの発見に向けた実験を行うべく研究を行っています。~
原子核に中性子を入射すると別種の原子核へと変化します。~
このような核反応において、原子核内の各核子が入射中性子のエネルギーを少しずつ分配して受け取る場合があります。~
この場合、一つの核子が偶然多くのエネルギーを受け取って原子核ポテンシャルの束縛を逃れたり、核子がγ線を放出し得るエネルギーを持つまでに比較的長い時間を要します。~
このように核反応の中間状態が長く持続することで、ある種の原子核として見ることができ、これを複合核と呼びます。~

ある物理現象を''空間反転''(鏡像反転)した際に、反転する前と同じ物理現象を示すことを''空間反転対称性''(パリティ対称性)と呼びます。~
原子核反応においてはこの空間反転対称性が破れていることがわかっていますが、
複合核状態では、介さない場合に比べて最大10&sup{6};倍も空間反転対称性の破れが増幅される現象が知られています。~
次の図は、これまでに発見されている様々な原子核での空間反転対称性の破れを示しています。この増幅効果がCP対称性(または時間反転対称性)の破れにも現れる可能性が指摘されており、~
九州大学ではこの発見に向けた実験を行うべく研究を行っています。~
&ref(http://epp.phys.kyushu-u.ac.jp/image/nop9.png,zoom,0x400,parity asymmetry);

***中性子電気双極子モーメントの探索 [#k93a4758]

自然界の時間反転対称性は粒子反粒子の違いを表すCP対称性と直接的に関係しています。~
自然界の''時間反転対称性''は粒子・反粒子の違いを表す''CP対称性''と直接的に関係しています。~
CP対称性の破れは既に確認されているため、時間反転対称性も破れていることが考えられます。~
この時間反転対称性を検証する有力なプローブとして中性子電気双極子モーメント(nEDM)と呼ばれるものがあります。~
今日までにnEDMが有限の値を持つことは確認されておらず、nEDMの値の決定は素粒子物理学の最重要課題の一つです。~
この時間反転対称性を検証する有力な実験手法として''中性子電気双極子モーメント(nEDM)''と呼ばれる中性子内部の電荷の偏りに相当する量があります。~
今日までに''nEDMが有限の値を持つことは確認されておらず''、nEDM値の決定は素粒子物理学の''最重要課題''の一つです。~
このnEDMを、中性子光学を駆使して精密に検証していきます。~
&ref(http://epp.phys.kyushu-u.ac.jp/image/nop5.png,zoom,0x250,Apparatus);
&ref(http://epp.phys.kyushu-u.ac.jp/image/nop4.png,zoom,0x250,nEDM);

***重力の逆二乗則の検証 [#q224a70a]

自然界に存在する4つの力の内、重力相互作用は極端に小さく、他の相互作用に比べて検証が進んでいません。~
この重力の弱さを説明する理論モデルとして「大きな余剰次元モデル」などが議論されています。~
面白いことに、これらのモデルでは重力法則が皆さんの知っている逆二乗則からズレることが予言されています。~
中性子は電荷を持たず、かつ分子間力の影響を受けにくいなど、重力以外の相互作用を大きく抑制することが可能です。~
この重力の弱さを説明する理論モデルとして''「大きな余剰次元モデル」''が議論されています。~
面白いことに、これらのモデルでは重力法則が皆さんの知っている''逆二乗則からズレる''ことが予言されています。~

中性子は''電荷を持たず、分子間力の影響を受けにくい''など、重力以外の相互作用を大きく抑制することが可能です。~
この特徴を活かして、非常に近距離(〜nm)における重力相互作用の働き方を中性子散乱を通して検証しています。

&ref(http://epp.phys.kyushu-u.ac.jp/image/nop10.png,zoom,0x250,Formula);
&ref(http://epp.phys.kyushu-u.ac.jp/image/nop8.png,zoom,0x250,Scattering);

[[Bi-weekly meeting:http://epp.phys.kyushu-u.ac.jp/index.php?GasScatteringMeeting]]


**リンク [#r9732c56]
SIZE(15){[[中性子光学グループ(NOP)ホームページ:http://nop.kek.jp/Zope2/Home]]&br;}
SIZE(15){[[J-PARC ホームページ:https://j-parc.jp]]&br;}